(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会神奈川支部の副支部長、森山哲さんが、10月29日 の TBS番組「ビビット」のビビットフォーカス 「高層階から子供の転落相次ぐ」にテレビ出演されましたので紹介します。
高層階からの子供の転落が各地で相次いている。
東京都内だけで転落で救急搬送された子供は年間40人近くに達し増加の傾向にあるとのこと。
高層階からの転落事故で最も多いのはベランダからの転落である。
手すりの高さは床から110cmと決められている。(建築基準法施行令 第126条)
この高さが確保されていれば子供が手すりを超えることはまず考えにくいが、危険なベランダが多いという。
森山哲さんは、当支部の副支部長であり公社)日本技術士会登録「子どもの安全研究グループ」の会長としても活動しています。
ベランダに置かれたゴミ袋、プランタなどは子供の踏み台(足がかり)となり、実質的に手すりの高さは低くなる。エアコンの室外機が手すりの近くに設置されている場合は、特に危険である。
一方、何も置かれていなくとも危ないベランダは多い。
手すりの下部が壁(腰壁)の場合、手すりに横さんが入っている場合などはその部分が子供の足かがりになり、容易によじ登れてしまう可能性が高い。
新しい高層住宅では、転落事故防止の観点からか130cm程度の手すりも見られる。しかし、以前より広くなったベランダを居間の生活空間の続きとして「おしゃれ」な生活をエンジョイする生活様式が広がり始めているので新たなリスクが生じているのではないか。
注)「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、「ベターリビング認定基準」等では足がかりとなる構造部分の高さから、さらに80cm以上の手すり高さを確保するとしている。
TBS放映画像より
・ベランダの床にものを置かない
・手すりの横さん部分などに透明のカバーを付けよじ上れないようにする
・手すり周辺の足かがりになるものに登っても転落の危険が無いように手すり、柵を補強する
・室外機を新たに設置する場合は手すりから60cm以上離す
一方、ベランダに子どもをひとりで出さないことがさらに重要であり、この場合ベランダに面した戸の子どもの手の届かない位置に二重ロックを取り付けることが有効ということでした。
本テレビ番組では一般の高層住宅からの転落がテーマでしたが、周知のように労働災害においても転落事故は多いため、手すり等の高さを法令で定めています。手すり等の高さは何センチ位あれば適切なのでしょうか。
労働安全衛生規則から転落防止のための手すりや柵等の高さの基準値例を参考に挙げてみました。
101条 踏切橋には、高さが90cm以上の手すり (原動機、回転軸等による危険の防止)
130条の5 高さが90cm以上の柵等 (粉砕機等への転落等における危険の防止)
142条 高さが90cm以上の柵等 (転落等の危険の防止)
533条 高さが75cm以上の丈夫な柵等 (煮沸槽等への転落による危険の防止)
552条 高さが85cm以上の手すり等 (墜落の危険のある架設通路) :H21年の改正で10cm+
高さの基準値にバラツキがある上に、身体のバランスを崩した場合に転落防止効果に疑問な75cmという規定も見受けられます。
森山さんは、労働安全コンサルタントとして職場の安全指導をおこなっていますので普段から手すりの高さや転落防止に関心を持っています。幼児高層階からの転落予防は作業者の転落事故対策と必ずしも同じではりませんが、安全を確保して安心な生活と職場を確保する側面は共通です。
労働安全衛生コンサルタントならではの社会貢献につなげてゆきたいが当支部のコンサルタント一同の思いと願いです。