「安全診断」の目的は、依頼事業場の経営、設備、作業、環境等の中に顕在または潜在する労働災害の原因を見つけ出して改善の方針を示すことです。法令の要求事項を満たすことは最低限必要なことです。法律の要求を満たせば良いというわけではありません。職場にあるいろいろな危険源、危険要因を見つけ出して労働災害の発生を事前に防ぐことが大事です。
労働安全の専門家であるコンサルタントは、法令面と技術的面との両面からの診断と指導をおこないます。
多くの事業場には共通の問題があります。
(1)危険源に気づいていない
経営者あるいは管理者は災害が発生しても設備や機械あるいは安全管理の仕組みの不備を見過ごして従業員に注意を喚起はする程度に留まる傾向があります。労働基準監督署等から特別に指摘されるまで,積極的な対策を取らないことも多いようです。
中小規模事業場特有の問題として生産を維持できるようがんばりますが、労働災害は起きなければそれでよいとして、労働災害発生の要因となる危険源にはなかなか目が行っていないのが現状です。
また働く人の不注意は従業員の責任であるとの意識が経営者あるいは管理者にあるようで、事業所側から危険源の発見に努めようとする意識が少ないのが現状です。
(2)気づいているが適切な対策が打てないので放置している
事業所の多くの機械・設備は10年、15年前に導入されており当時の機械メーカーに安全設計の配慮が不足している場合が多くあります。事業所が不安に感じていても、どんな対策をすればよいかの知識もないので,適切な対策がほとんど打たれていませんでした。また機械メーカーに頼むと膨大な改造費を提示され、あるいは機械メーカーからの提案では作業性が悪くて生産性が悪くなるなど、現実的な対策方案が見つからない等が主な理由でした。
作業場の安全通路の確保、安全な作業環境の確保も生産優先が先行し、災害の直接原因ではないとして対策を行っていない箇所が多くあります。
(3) 安全管理のシステムがない
経営者が安全教育を受けていないためか,ほとんどの中小規模事業場では安全管理体制に対する知識がありません。安全確保は仕事を進めるための基本的条件であるという認識が薄いこともあってか,安全管理体制等が満足に出来ていない事業場も多くあります。
「労働安全診断」をスムースに進めるためには、事業場とコンサルタントが一緒になって次の順序で進めます。
- 情報を入手します。
- 直接的不安全要因(不安全状態と不安全行動)を現場で診断し抽出します。
- 間接的不安全要因(指導管理体制の不備、教育の不備等)を分析します。
- 改善策を取りまとめしてご依頼者に説明します。
- 労働安全診断報告書を作成します。
所要時間 |
:安全診断をおこなう対象職場の大きさによりますが、3時間から1日、場合によっては事前の打ち合わせと本診断のように複数日で実施します。 |
費用 |
:別項を参照して下さい。 |
人員 |
:労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントが行います。 |
主要な診断項目(診断項目は依頼者とコンサルタントで適宜選択します)
- 災害の発生状況、要因分析とその後の対応策
- 安全管理体制
- 文書と記録
- 安全衛生管理社内規定
- リスクアセスメントの実施状況
- 職場環境とレイアウト
- 機械設備
- 電気設備
- 安全装置
- 爆発・火災
- 墜落災害
- 安全点検(法定項目、自主実施項目)
- 作業方法
- 終業にあたって資格や教育受講歴が必要なもの
- 安全衛生教育の実施状況
- 年間安全衛生活動
- 高齢者への配慮
- 外国人への配慮