我が国では、機能、コスト、納期を重要視してきましたので、機械設備の安全対策より作業者の注意に頼る傾向がありました。しかし人間の注意には限界があります。機械による安全確保は人間の注意力よりより信頼性があります。どうすれば機械の安全を図ることが出来るかを世界中で定めたのが国際規格です。
国際規格は機械設備の安全を図る手法と基準を10年の年月をかけて定めました。国際規格の中核をなすISO12100の原案は厚生労働省の指針として採用され、ISO12100:2003はJIS規格JISB9700:2004となりました。いまや安全に関する国際規格は15,000種もあり、今も新規制定と更新が続いています。
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1.本質的な安全方策
機械・設備の安全化を図るには、危険源を無くすことが出来れば最も好都合です。無くせないまでも機械にある危険源を小さくするとは安全化の第一歩です。これを本質的な安全方策といい、機械装置の設計者と製造者が最初に実施します。
機械設備の使用者である事業者では機械設備の本質的な安全方策を施すことは容易でない場合が多いのですが、事業者には、作業工程(プロセス)の変更により、あるいは使用する原材料を変更して安全化を図ることが出来る場合もあります。これは機械のユーザならではの本質的な安全方策です。
2.安全装置とインタロック
危険源を十分小さくできない時には、危険源に安全カバーを付ける、カバーで覆う、あるは危険源へ人が接近出来ないように保護柵を設置するなどをおこないます。カバーを開く、保護柵のドアを開くと機械を非常停止させるなどの保護回路と連動させるなども危険度に応じて実施します。作業者を危険な機械から確実に遠ざけるために運転スイッチを押し続けているときだけ機械が作動する方法もあります。プレス機械の両手押しボタン起動スイッチがその典型的な例です。機械は作業者の安全が確保出来ている時だけ起動が許可されます。機械の運転中に作業者の安全が確保出来なくなったら機械を停止させます。この仕組みをインタロックといいます。
有機溶剤や化学品を使用する事業所の局所排気装置、プッシュプル型換気装置は化学品への人体のばく露量を低減させる仕組みです。
このような広義の安全装置を工学的なリスク低減方策とよぶこともあります。
3.フェールセーフ
機械は壊れるものです。安全装置も壊れます。安全装置が壊れて安全装置としての機能を発揮出来ないことは大きな危険を生じる恐れがあります。機械が壊れる、あるいは安全装置が故障して機械設備が暴走することは極めて危険です。機械あるいは安全装置が故障したときにでも安全であることをフェールセーフといいます。ほとんどの機械設備は、停止させることが出来ますし、停止が安全位置であるのでフェールセーフにより安全位置に停止させます。
4.機械安全
製品や機械に起因する不幸な事故を防ぎ、安心してこれらを使用するために、機械設備の安全確保を最優先すべきです。「人間は間違える、機械は壊れるものである」という事実を大前提にした考え方で、傷つくのは人間であり、傷つけるのは機械であるので、まず機械をリスクアセスメントして、設計段階から「本質的な安全方策」、続いて「防護による安全(安全装置)」、そして「使用上の情報」の順序で安全方策をとります。それでも残ったリスクは、設計者(製造者)が用意した使用上の情報とともに使用者(事業者)にリスクの管理を委ねる考え方にしたがいます。これが機械安全の考え方です。厚労省の指針「包括的な安全指針」は、この機械安全の考え方を更に発展させたものといえます。
5.電気安全
ほとんどの機械の動力源は電気です。機械の動きは電気によって制御されています。安全装置には電気回路があります。機械の安全には電気が必要不可欠です。その電気を安全に使用しているかの判断の基準になるのが国際規格と対応するJIS規格です。機械と設備の安全化においては、電気安全は機械安全の一部としてとらえます。ここでは分電盤のブレーカーの選択、ケーブルの太さ、色、名称、アース(接地工事)、筐体の設計、押しボタンの色、非常停止押しボタンの色と形、など詳細に定められています。電気設備(装置)は電気部品の集合であり集めた電気部品を機能要求に従って組み立てます。電気安全とは、これらの電気部品が国際規格と対応するJIS規格が要求する通りになっていることともいえます。
6.人間工学
7.作業環境
8.環境対策設備
9・ヒューマンエラーとは
10.不安全行動と改善の指導
11・フールプルーフ化
12・低減策と実施