快適職場に関して労働安全衛生法の第1条に、この法律の最終的な目的として「快適な職場環境の形成」を明記しています。この条文の背景には、労働力人口の高齢化に伴い事業場における中高年齢者の割合の増加に加え、多様な就業分野への女子の進出による女子労働者比率の向上が挙げられます。このような就業構造の変化に対応し、作業方法等の改善された職場環境の形成を図る必要性が高まったためです。
平成4年7月1日に労働省告示として出された「快適職場指針」には、職場の快適化に向けて事業者が講ずるべき措置の内容として、
- 作業環境の管理
- 作業方法の改善
- 労働者の心身の疲労回復を図るための施設・設備の設置、整備
- その他の施設・設備の維持管理
の4つを掲げています。
こうした措置を通じて、労働者が多くの時間を過ごす職場を、疲労やストレスを感じることの少ない快適な職場環境にしていくことが大切です。
★コンサルタントは皆様のご要望に応じて様々なお手伝いをさせて頂きます。
快適職場の形成に関連した項目の例は、以下の通りです。
- 職場環境の改善に関する指導のご依頼
- 職場の受動喫煙防止対策でお困りではありませんか。
- 事務所の快適環境づくりでお困りではありませんか。
- VDT作業の現状把握(評価)、改善に関するご依頼
コンサルティングの料金については、
報酬のページをご参照下さい。
1.事務所全般
一般的に事務所というと、瀟洒なビルの上階に位置し、空調設備が気持ち良く稼動して、快適な環境が約束されているように思われがちです。ところが実際は、タバコによる煙、空調の強い吹き出し気流、冷房の効き過ぎ等の様々な不快要因が存在することが知られています。
事務所衛生基準規則では、一酸化炭素及び二酸化炭素の濃度、温度、湿度について定期的に作業環境測定を行い、その結果を3年間保存すべきことが明記されています。さらに、空調設備等から供給される空気に関して、粉じん、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒド、気流、温度、湿度を適切にコントロールするように基準値が設けられています。
これらの空気環境に関連した項目以外にも、事務所で働く労働者からは、部分的に照明が暗い、紙折り機の騒音が耳障りだ、日当たりが良すぎるなどの苦情が聞かれることがあります。
こうした苦情を踏まえて、事務所の空気環境の測定を定期的に行って環境状態をチェックすることに加え、調査票によるアンケートを実施して心因的な面の問題解決を図り、職場環境をより良い方向に持っていくことが大切です。
3.VDT、作業態様
近年、多くの産業におけるマイクロエレクトロニクス機器の急激な普及に伴い、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)を使用する労働が急速に拡がっています。
VDT作業はこれまでの作業と異なり、情報を映し出した端末の前で主に目及び上腕等の上半身を使用して、間違えることなく同じような連続作業を繰り返すことが要求されます。このため、労働者の中に健康についての訴えや不安を持つものが現れてきています。
厚生労働省が平成10年に実施した調査では、VDT作業を行っている作業者のうち、精神的疲労を感じている者が36.3%、身体的疲労を感じている者が77.6%に上っていると報告されています。
こうした事態を受け、厚生労働省では昭和60年12月20日の基発第705号通達、及びこの見直しを行った平成14年4月5日の基発第0405001号通達「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」を公布し、その中で事業者に次のような取り組みを行うことを求めています。
- 作業環境管理関連項目‥室内の照明及び採光、画面のグレア防止
- 作業管理関連項目‥‥‥就業時間の管理、休止時間の設定、VDT機器の適正な導入
- 健康管理関連項目‥‥‥VDT健診の実施
- 教育 ‥‥‥労働衛生教育及び訓練の実施
VDT作業者の負担を軽減するためには、上記のような対策を実行に移すことに加え、画面、キーボード、作業台・机、イスといった機器が人間工学的な面に配慮したものであり、さらに作業者の体格や好み等に合わせて、容易に調節可能なものであることが必要となります。